2004年

ほそかわ農園では農園の様子をつたえる「菜園たより」を隔週で発行しています。

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2004年12月 14号
今年もお世話になりました

野菜セットのお届けは12月で終わりです。今年も、ほそかわ農園の野菜をたくさん食べていただきありがとうございました。1シーズン食べていただいた野菜をひとまとめにしたら巨大な山になるのではないでしょうか。野菜セットはまた来年の6月から始まります。それまで長いお休みになります。一年中とはいわなくても、もう少し長い間みなさんに野菜をお届けできたらよいなと思うのですが、このあたりは冬の寒さが厳しくなかなかむずかしいです。根菜類などは比較的貯蔵しやすいのですが、青物がとぼしくなってしまいます。わが家では白菜、キャベツも貯蔵して冬中食べるのですが、どうしても鮮度が悪くなってしまいます。でも、冬を越して3月ごろのカボチャ、ジャガイモは今よりさらに糖度が増して信じられないほど甘くなるんすよ。
この季節になると「冬は何するだ?」と聞かれることが多い。これは何のアルバイトをするのか?という意味です。ここらのお百姓は昔から、冬は農業以外の何らかの仕事をして生計を立ててきたわけです。今でも農家の多くは、大規模にやってかなり農業収入の多い人でも、冬のアルバイトをしています。特に昔かたぎの人は、たとえお金は十分にあっても、何もしないでブラブラしているのが何よりつらいようです。うちの場合、お金はないのですが、今年も特にアルバイトをする予定はありません。ブラブラというわけではないですが、年が明けてからは、朝起きて「さて、今日は何をしようか」と考える生活です。とはいえ、ちょっとしたものおき小屋を作ったり、また例のごとくまきを運んだり、割ったりなどしていると、もう2月半ばからまた春の種まきが始まるのです。
冬の仕事で一番大事なのが、来春からの畑の計画をしっかりと立てておくことです!新年早々いろいろな種苗会社などのカタログを広げ、ストーブにあたりながら、あーでもない、こーでもないと考えるのはとても楽しい。見たことのない珍しい野菜ばかりお届けしてもどうかと思うのですが、まだ食べたことのないもの、とくにカタログに「大変おいしい、食味極上」なんて書いてあるとぜひとも作ってみたくなってしまう。ついついあれもこれもとタネを注文してしまい、畑に植えるときになって困ってしまう(これが計画と言えるのか?)。また、もっと自分に納得のゆく、よりよい作物を作っていく方法もはっきり見えてきた気がします。それは、今よりもっと太陽と植物と微生物の力を有効に使うこと。緑肥であり、草生栽培であり、豆類や麦類をもっと取り入れてゆくこと、畑に持ち込むものをなるべく少なくしてゆくことでもあります。来年もうちの畑にご期待ください。どうぞよいお年をお迎え下さい。

 

2004年12月 13号
寒さに強い野菜

寒くなるにつれて畑にある野菜の種類は少なくなってくる。寒さに弱いものから一つずつなくなってしまうのだ。葉物野菜で最後に残るのはこの三種類。コマツナ、ホウレンソウ、ターサイだ。
コマツナは作りやすいといえばたいへん作りやすい野菜だ。タネをまけば、気候のよいときならば1ヶ月弱で「コマツナ」ができあがる。作業としては(1)タネまき、(2)収穫、という感じだ。しかし、生育期間が短い分、途中でどうこうすることはできない。例えば、トマトならばどの畑に作ったとしても、あげる肥料を吟味し、足りないようならばもう少しあげようかと、顔色をうかがいながら育てることもできる。しかしコマツナは、途中であまりよくないかも…と思ってももうどうしようもない。よい土でなければよいものができない。正直です…。土の味がそのまま出てしまう、という感じでしょうか。
ホウレンソウは、実は葉物の中ではもっとも作りにくい。肥料もたっぷりじゃないといやだし、酸性の土は大きらい、雨もきらい、とかなりわがままだ。ホウレンソウがよくできるようになれば、よい畑になったというくらいだ。うちでは最近は石灰の類もぜんぜん使わないようになった。ホウレンソウは特に大量の石灰を畑に入れないと育たないということになっている。かわりにカキガラ(牡蠣殻)の粉末を使用しているのだが、畑によってはうまくいかないことも多い。土作りもまだまだ半ばという感じです。
ターサイがこの3つのなかではもっとも寒さに強い。その秘密はこの形、緑のザブトンだ。初めて見た人は必ず驚いてくれる。この形をロゼットといいます。道端のタンポポなんかも冬はこんな形をしている。でも9月頃の姿はぜんぜん違う。ちょっと葉っぱが多いけどコマツナかなーという感じだ。寒くなるにつれ、次第に地面にはりついてくる。もっと寒くなると、あんまりぴったり地面にはりつこうとするせいか、チョキッと収穫すると、裏側に反り返ってしまうくらいだ。
これら3つとも寒ければ寒いほどおいしくなる野菜だ。今年の秋はずいぶん暖かかったので、まだまだこれから柔らかく甘くなってくれるはずです。


2004年11月 12号
田んぼのワラ集め

「豊作年は秋の長雨」と言うそうですが、何だか雨ばかりで、やっと田んぼのワラ集めが終わった。自分の田と近所の人の田から合わせて5反分(50a)くらいのワラを運ぶ。このうち半分は堆肥の置き場所にしている5セ(5a)ほどの畑に運びこむ。そして近所の酪農家から分けてもらった牛フン堆肥と混ぜて積み上げる。エゴマの実をとった後の茎、大豆を収穫した後の豆がらなんかもいっしょに混ぜてしまう。トラクターで切り返すたびにもうもうと湯気が上がる。今はうず高い山になっているが、半年もたてば何分の1かの量になる。これで堆肥の完成。来年には畑にまかれることになる。
 もう半分のワラはしきわら用だ。こちらはまず、田んぼに散らばっているワラ束を4つか5つずつ円すい状に立たせて、上のほうをワラでくくる。そのまま2週間くらい乾かす。乾いたら今度はひとかかえくらいに束ねる。それをワラ小屋に運びこむ。古い木造の、ワラを入れるための小屋があるのです。このワラは、来年畑でトマトやキュウリ、カボチャなど主に果菜類の株元や畝間に敷いてあげる。はだかの土より何か地面の上に敷いてある方が植物はうれしい。何ヶ月かすると、敷いたワラはすでに下のほうから腐り、分解し始めている。ミミズやいろんな虫も増えてくる。そして収穫が終われば、またトラクターで耕されて畑にすきこまれる。
 また、野菜の収穫・出荷のたびに、キャベツの外葉やネギの皮などの「ゴミ?」がコンテナ何ばいか出る。これらも堆肥置き場に運び込まれ、また別のひと山に積まれる。台所の生ゴミもいっしょだ。これも何度か切り返し、一年ほどたつとすっかり土みたいになる。こっちの方は田んぼに運ばれて、わが家で食べるお米にかわる。
今、紅葉も終わり、ハラハラと木の葉が散っている。全部落ちれば、今度は雪がふる前に落ち葉集めだ。くまででかき集めて軽トラに積み、運ぶ。わりとのどかな仕事
ですが、一週間ほどかかる。落ち葉は来年の春、ハウスの中で「踏みこみ温床」に使う。まずは発酵熱で野菜の苗を育ててもらうのだ。そのあと運び出し、またまた積み上げ、切り返す。二年たつとすっかりさらさらの土になる。今度はそれをポットに詰めて、ナスやトマトの苗を植えるのに使う。苗を定植すると、この土もいっしょに畑に入る。
農業というのは、化学肥料にたよらない有機農業では特にそうなのですが、こんなふうな炭素分の多い、ガサガサかさばるものをせっせと運んだり、積んだりする仕事
かもしれません。ワラや落ち葉がだんだん貴重な宝物のように思えてくるのが、われながらおかしいです。よく手入れされ、落ち葉のとりやすそうな山を見かけると「いいなー」とうらやましくなってしまうのです。

2004年11月 11号
ヤマトイモの話

寒くなってきました。それもそのはずで、いつのまにかもう11月です。いろいろあっても季節が巡るのだけは確実です。サツマイモを掘り、稲刈りをし、花豆や大豆など豆類も収穫が終わり、畑のほうもだいぶ片付いてきました。先週からヤマトイモを掘りはじめ、今ぼちぼちと掘りすすめているところです。今年はビニールマルチを張るのをやめて(なるべく使いたくはないのです)、畝の上にわらを敷くだけにしてみたのですが、何の畑なのかわからないくらい草だらけになってしまいました。やはりそれがよくなかったのでしょうか。今年のイモは残念ながらだいぶ小さめみたい。イモ掘りはまずその草を引き抜いて、次に手でイモの頭というか首というのかそのあたりを少し掘り、位置を確認します。それからスコップでまわりから掘りすすめ、準備オーケーと引き抜こうとすると、さわるかさわらないかのうちに「ポロリ」と小さいのしかとれないこともしばしば。おかげでほるのは楽なのですが…。
ヤマトイモはヤマイモの仲間です。長イモより水分が少なくてねばりが強く、色も白くて上品な感じです。長イモの方は、野性的というか、あの口のまわりや手がかゆくなる成分が多い。その分特有のうまみも多い気がします。ほそかわ農園でも以前は長イモとヤマトイモの両方を作っていたのですが、今はヤマトイモだけです。長いもは専用の機械なしには掘るのがとても大変なのと、このあたりは石も多くて耕土も浅く、深くて柔らかい長イモに適した畑がなかなかないのです。とはいえ、かたい土を押しのけて苦労して大きくなったイモの方が、形は悪くてもねばりが強くおいしそうです。
これから日ごとに寒くなってゆきます。今は朝霜がおりる日とおりない日があります。じきに毎朝真っ白に霜がおりるようになり、最低気温がマイナスになります。次第に畑の土も凍ってきます。大根や人参、キャベツ、白菜なども貯蔵しなくてはいけません。貯蔵は土にうめるか、ムロに入れるかなのですが、これはいわば天然の冷蔵庫ないしは保温庫なので、あまり早く入れすぎてもいけません。暖かすぎて傷んでしまいます。そうかといって畑でカチカチに凍ってしまってはもちろんいけません。もうしばらくは、天気予報でこの秋もっとも強い寒気が来た、なんていわれるとちょっとドキッとするのです。

2004年10月 10号
お米の収穫

わが家は自給用に2反(20a)ほど田んぼを作っている。長雨が続き、手間取りましたが、どうにか稲刈りも終わりそうだ。「へー秋はおわったかい?」なんて聞いてくるお年よりもいる。「もう稲刈りは終わったのか?」という意味だ。お米を作っているお百姓にとって、秋イコール稲刈りというわけだ。
うちでは大量の米を食べている。今、日本人はひとり平均1年間に60キロくらいの米を食べているらしい。我が家では1日約1キロ、単純計算で1年365キロ!もたべているらしい。ほんとですか?といいたくなります。わが家といっても大人2人と幼児2人だけだ。父母の分はまた別計算なのだ。うちはアトピー・アレルギー一家なので、たんぱく質や油分の摂取にいろいろ不自由がある。好むと好まざるにかかわらず、数十年前の日本の食事に近いものになっているようなのだ。それから作っている本人もそうなのだが、お米はタダと思っているフシがある。確かにお米代という形でお金がでてゆくことはないが、労力はたっぷりかかっているのだが…。
お米は土蔵にしまっておく。土壁の昔ながらの土蔵だ。中にブンコといって、お米を入れておくための小さな部屋がある。秋、そこにモミのまま一年分の米を蓄える。食べているお米がなくなると、そこから出してきて、精米機でもみすりし、精米して食べる。去年は冷夏でいつもの年の半分くらいしかお米が取れなかった。さいわいおととしたくさん取れたので、一年の半分くらいおととしの米を食べていた。いわゆる古米だ。今、土蔵の中にはモミで50キロくらい残っている。なんとか一年間食いつなげたわけだ。昔なら、土蔵に米がなくなったらそれこそ大変なことだろうが、今なんか気楽なものです。お店に行けばいくらでも売っている。しかも自分で作る労力を考えると、買ったほうが安いくらいなのだ。
今、日本の田んぼは半分くらいが転作で、米以外のものが植えられているか、あるいは利用されていない状態だ。うちの近所でも半分くらいの田はあそんでいる。それでも残りの半分ではみんなせっせと米を作っている。村には専業農家の人はほとんどいない。会社に勤めるかたわら、休みの日を使って田植え、稲刈り、土手草刈と結構忙しそうだ。「大変そうだな。お米なんて買ったほうが安いのに」と以前は思っていたのだが、自分でやってみると米作りって楽しい。本当です。春、一番最初に田んぼに水を入れるときはワクワクする。そして何年か作っているうちに、田んぼというところが、うまく説明できないけれど、何か特別な場所に思えてきた。世の中がどうなろうとせっせとお米作りを続けるお年よりの気持ちが、少しだけわかるような気がするのです。そう、今年は誰か上手な人に教わって、うちの田んぼのワラでお正月の「しめなわ」を作ってみたいな、と思っています。

 

2004年10月 9号
ねぎの話
 

ねぎは中国が原産地だそうですが、中国といっても広いです。もともとはどんなところに生えていたものなのか、一度見てみたいと思うのです。ねぎは寒さに強く、暑いのはきらいですが、そのわりによく耐えて、乾燥にも強い作物です。今は畑から収
穫していますが、12月のはじめ頃、畑が凍りつく前には全部抜き取って、一隅にまとめて、また土に伏せておきます。上にわら束などをのせて、多少の保温をほどこしてあげます。ここから皆さんにお届けしたり、また冬中わが家で食べるのです。しかし、これを例えば玄関先になどにひと冬ころがしておいたとしても、マイナス20度近い寒さに耐えて春にはまた青々とした芽を伸ばしてくる、そういう生命力の持ち主です。この信州の高冷地で冬の食べ物として昔から大事にされてきたわけです。今でも家庭菜園の基本は、ねぎとジャガイモという感じ。これだけはみんなきっちりと作っています。その一方、ねぎは大きくなるのは遅いのです。9月のはじめ、まだねぎの出荷が始まったばかりなのに、もう来年用の種まきをしなくてはなりません。今、5センチくらいにのびて、ちょうどつまようじのような姿をしています。これから約一年かけて大きくなるのです。そして草には弱く、種まきしてから収穫まで何回となく草取りをしないと草に負けてしまいます。うっかり草だらけにしておくと、ちっとも大きくならないし、とけてなくなってしまうこともあります。このあたりで作っているのはいわゆる根深ネギなので、後半は土寄せといって根元に土を盛り上げてゆきます。
さて、今年のねぎは思いのほか太くなりました。春植えたとき、株元にわらをしいたのがよかったのでしょうか。「よしよし…」と喜んでいました。8月の終わり頃、追肥をしたくなりました。もともとねぎは肥料にあたりやすい作物なので、少しずつ、少しずつ追肥をしながら育てるものなのですが、いつもの年に比べてもう十分大きくなったしどうしようかと迷いました。アブラムシがこわいのです。でももう少しだけあげれば、もう少し大きくなるかも…。結局、追肥をしました。少し肥料をあげたわけです。すると、アブラムシがつきました。「しまった…」。アブラムシはだいたいにおいて、肥料が多すぎるときに発生します。そして、またねぎはアブラムシにとっても弱いのです。今、広がらないようせっせと手でとったりしていますが、これがなかなかたいへんです。無農薬の場合、病気や虫が出ないようそだててゆくのが基本で、もしでてしまうと対応が難しいのです。欲張りじいさんが結局損をするという、何だかどこかで聞いたことのあるお話になってしまいました。
作物は肥料が多すぎても、少なすぎてもうまく育ちません。そして土自体が肥えていて、肥料にたまる分がより少ないほうが、作物は安定して健康に育ってくれます。本当に土が基本です。フカフカのよい土って、手でさわってもとっても気持ちがよいんですよ。

2004年9月 8号
大収穫の秋豆と枝豆
   
      
近所でもそろそろ稲刈りが始まったようです。スポーツの秋といいますが、ほんと体を動かすのがとっても気持ちよい季節になりました。快適に農作業を行っております。今の作業は…ジャガイモをようやく掘り終わったので、今度はサツマイモ掘り、稲刈りなど収穫関係です。それから、小麦や葉物類、ニンニクなどの種まき。そして、空いた畑には堆肥をまいたり、えん麦やライ麦を緑肥としてまいたり、これはもう来年の準備です。
さて、畑の野菜のほうは、ちょうど夏と秋の中間です。ちょっと中途半端といえばそんな感じもします。あれだけ取れていた夏野菜がめっきり少なくなってしまいました。トマト、ナス、ピーマンなど、気温が下がりゆっくりと大きくなるせいか、だんだんかたくなってきます。トマトもだいぶ皮がかたくなりました。ピーマンも小さめで収穫していかないと、かたくなります。それから秋は、「実がいる」といいますが、いろんな種がふくらんで種として充実してきます。土手の草なども夏は十分に大きく
なってから実をつけるのですが、秋になるとこんな小さな草までが、いっしょうけんめい小さな実をつけようとします。いそがないと、これからどんどん寒くなってゆくことを知っているのです。畑のシシトウも中の種がかたくなってきたので、とるのをやめました。
今年は作物はまあよくできた方ですが、失敗したものもあります。秋にお届けするはずだったブロッコリーは種まきに失敗してまったくなくなってしまいました。ブロッコリーは秋のものがもっともおいしいし、また虫も比較的少なく(無農薬で作るにはこれが大事!)、きれいにできるので残念です。それからレタス類もうまく行かず、春に少しお届けしただけになってしまいました。ジャガイモもよくありませんでした。肌目が悪いし、小さくて皮をむくのが大変かもしれません。
失敗の原因はいろいろですが、例えばレタスなら、レタスの性質をよくわかっていないから、うまくゆかないということもあります。何年かの試行錯誤の末にやっとこうすればよいのか、とわかることもあります。うまくゆかないものは、きっと私の理解が足りないのだろうと思うのですが、なかなかわかりません…野菜の気持ち。
これから寒くなってくると、秋や冬の野菜はだんだんおいしくなってきます。ホウレンソウ、コマツナ白菜、ねぎ…。特にねぎなどは寒くなればなるほどトロリと柔らかく甘くなってゆきます。ジャガイモやサツマイモ、かぼちゃなどは全部収穫して貯蔵しておくのですが、これらも時間がたつと、次第に甘くおいしくなってきます。ご期待ください。

 

2004年9月 7号
大豆と枝豆
   
      
めっきりすずしくなってしまった。こうなるとキュウリやトマトの夏野菜は、ガクッと取れなくなってしまう。これからは冬に向けて日に日に気温が下がってゆくばかりと思うと、何か寂しい感じがしてしまう。とはいえ、これからイモや豆、そしてお米が収穫をむかえる。みのりの秋だ。
今日は大豆について…。大豆は1反(10a)くらい作っています。大豆はこのあたりでは5月下旬に種をまく。種は去年収穫した大豆の中から悪い豆をよけて使う。豆類は「自家受粉」といって他の種類のものと混ざりにくいので、種とりがしやすい。種まきすると、まずは鳥(ハトとキジ!)対策だ。大豆は豆自体が根っこに持ち上げられて、地面から出てきてぱかっと開き、最初の双葉になる。鳥はこの発芽したての大豆が大好きだ。畝(うね)にそって歩きながら、このもやしの頭の部分だけちぎって食べてしまう。大豆をまいてから、しばらくは毎朝畑に行き、ちょっとでも芽が出ていれば、足で少し土をかけて隠さなければならない。しばらくして、双葉が開ききってしまうと、もう鳥は見向きもしない。次にやってくるのがシカ。シカも大豆が大好き。茂った葉っぱを垣根を刈り込むように食べてくれる。大豆は葉っぱもおいしいんでしょうか。食べて見たくなります。それから除草。機械(管理機)で2回くらい土寄せしたあと、どうしても1回は手で取らなくてはならない。草が小さいうちにやりさえすれば、そんなに大変ではないのだが…。収穫は、すっかり枯れて、手に持ってふるとカラカラとさやの中で音がするようになればOKだ。鎌か草刈機で刈ってしばらく干し、そしてわが家では、いまだに棒でたたいて脱穀する!昔から使っている専用の棒があるのです。最後に手回しの唐みで選別すれば完了だ。
この大豆作りの労力を金銭に換算するととってもキビシイものがある。日本の大豆の自給率が低いのも当然といえば当然だ。このあたりでも少なくなってしまったが、たまに自給用とおぼしき小さな大豆畑を見かけると仲間意識というか、ちょっとうれしいのです。秋には皆さんに大豆をお届けしたいと思います。わが家でも普段大豆を煮て食べるということはあまりありませんが、たまに食べるとあらためて豆っておいしいなと思う。味噌やしょうゆがおいしいのも大豆がおいしいからなんだなーと思うのです。
大豆と枝豆って同じなんですか?と聞かれることがあります。まったく同じ植物なのですが、品種が違います。枝豆は大豆を若取りしたもので、枝豆もそのまま畑に置いておけば大豆になるのですが、枝豆用のものは早くできるように品種改良されたもので、大豆用はたくさん豆が取れるようにつくられたものです。大豆用のは大きく育ってたくさん実をつけるので、その分取れるのが遅くなります。ほそかわ農園でもこれから、大豆用の品種の枝豆、黒豆の枝豆が出てきます。涼しくなってしまってビールのおつまみという感じではなくなってしまったけれど、とってもおいしいですよ。甘みが落ちてしまいますので、届いたらできるだけ早くお召し上がりください。

 

2004年8月 6号
ほそかわ農園の家庭菜園
   
      
今回はほそかわ農園の家庭菜園の話です。みなさんにお届けしていない作物のことです。試作というか試行錯誤中でうまくいけばお届けしたいと思っているものもありますし、ちょっと変わったものもあります。

  • コンニャク

  • 近くの人から手作りのコンニャクをいただいて、とってもおいしかったので作り始めた。 市販のコンニャクがコンニャクイモの粉末から作られるのと違い、生芋をすりおろして作ると、ゼラチンのような柔らかな食感でくさみがまったくない。 ただし、コンニャクを手作りするのはとても手間がかかって大変だし、芋も寒さに弱く、貯蔵が難しい。
  • イチゴ

  • 去年苗を植えて、今年初めていくらか食べることができた。お店に行けばイチゴは一年中ある。 日本人はイチゴの消費量が世界一だそうだが、露地で畑に植えられているものはほとんどない。 それもそのはずで、自然の状態でイチゴが食べられるのは春のほんの半月ほどの間だけということを初めて知った。 わが家のイチゴは大きかったり、小さかったり、甘いものもあれば、酸っぱいのもあり、ふぞろいのイチゴたちという感じ。 せめてジャムにするくらいとれないものかと、栽培方法を勉強中だ。
  • スイカ

  • 「ゆめまくら」というスイカを作っている。F1ではない。つまりタネをとってまた育てることができる品種だ。 今年のは、去年作って食べたスイカのタネからできたものだ。何となく愛着がわくから不思議だ。今年のはとってもおいしかった。 ただし、とり時が難しく、よくわからない。とってみたらまだ白っぽく若すぎたり、反対に熟しすぎていたりいろいろで、切ってみないとわからないので、 誰かにあげるのもためらわれる状態だ。それにしても暑い年には、暑いときに食べたくなるものができがよい、というのはよくしたものだ。
  • ユウガオ

  • かんぴょうの原料である。自家製のかんぴょうを作ったりするものだが、まずは煮て食べるのがおいしい。 トウガンに似ているが、つるっとした食感がトウガンよりすぐれていると思う。だしで煮てから葛でとろみをつけ、冷やして食べれば最高だ。
  • きのこ

  • なかなかうまくいかないのだが、今年も春先に昨年切っておいた木に植菌した。 シイタケ、ヒラタケ、ナメコ、エノキタケ、タモギタケ、そしてマイタケも少し栽培中だ。 この木からキノコが出るのは来年の秋、うまくいったかどうかわかるのはずっと先だ。 今、お店に売っているキノコは、シイタケ以外はほとんど施設の中でオガクズを使って栽培したものだ。 一方、木に菌を植えて作る原木栽培はほとんど自然のままなので、やはり秋のごく短い間しかとれないのが欠点といえば欠点だ。 けれど、かさが5〜6センチほどに育ったナメコの味は最高。また、初めてマイタケをとった時はずっしりと重いのに驚いた。

キノコはできればみなさんにもお届けしたいと思っているのですが、うまくゆくでしょうか。。

 

2004年8月 5号
秋の準備
   
      
今日も暑い1日でしたが、夕立が来て30℃くらいあった気温が一気に20℃近くまで下がった。8月に入るとどこかにかすかな秋のけはいを感じるのは私だけでしょうか。そういえば、朝、明るくなるのがずいぶんと遅くなりました。ここのところ、朝はキュウリやナスなどを収穫するのが日課です。今が最盛期、いちばんたくさん取れる時期です。涼しいうちにとった方がもちが良いので、なるべく日の出前にとりたいのですが、最近は4時半ではまだ薄暗く、仕事が始められなくなってしまった。こう書くといかにも早起きのようだが、実は寝る時間も早いです。それに、早起きはとても気持ちが良い。静かだし、空の雲と日の出の様子は毎日違う。今朝はキツネが走ってゆくのを見た。ふさふさしたしっぽがピンと真横にのびていました。
まだ暑いのでついうっかりして遅れがちですが、畑の方は秋の準備です。秋から冬にお届けする白菜のタネまきが今、8月始めです。遅くなってしまうと、山東菜のように広がったままで、結球してくれません。大根も秋の1回目をもうまかなくては…。コマツナ、カブ、ホウレンソウなども8月半ばくらいから何回もまいてゆきます。
今年の野菜はおおむねよくできていますが、ジャガイモは不作でした。皮もきめが悪く、でこぼこで小さいイモばかりです。それから、10〜11月にお届けするはずだったブロッコリーは、苗作りが失敗し、まったくなくなってしまいました。残念。本当にすべてがうまくゆくという年もないですね。せめてこれからまく白菜やホウレンソウにはがんばってもらはなくては…。私もですね。ハイ。

2004年7月 4号
トマトの話
   
      
もうひと月近く雨が降りません。降るところではとんでもなく降ってひどいことになっているのに、どうしたことでしょうか。先日ナスに水をかけました。300リットルのタンクで4回、川から運びました。このくらいでは「焼け石に水」という感じで
すが、それでもやらないよりはまし。ナスは水が大好きなので、今まで乾ききっていた分、ちょっとの水でも喜んでくれたようではありました。わが家だけのジンクスとして「かん水すると雨が降る」というのがあります。ちっとも雨が降らないので、しょうがないなとやっと重い腰をあげ畑に水をかけると、次の日あたりザーっと雨が降って、はいご苦労さんとなるはずなのですが、今回はどうもダメみたい。何とかひと雨ほしいものです。
一方、今年のトマトは元気いっぱいです。トマトは雨が大嫌い。雨にあたると病気になりやすく、実が割れたりもします。反対に乾燥するのはへっちゃら。もともとアンデス高地の乾燥地帯生まれです。今、一番下の房から赤くなり始めたところです。雨が少ないせいか実が小さめですが、その分味が濃いようです。
トマトは3月半ばにタネをまきます。2ヶ月弱ポットで育ててから、畑に植えつけ、支柱を立ててしばりつけます。トマトは本来、ずるずると地面をはいながら伸びてゆく植物なのですが、それではいろんな作業がしにくいので、縦に伸びてもらうのです。次に雨がかからないように、パイプとビニールで屋根をつけます。野菜の中でも手間のかかるもののひとつです。そして、すべての葉っぱのつけねから、次々とわき芽が出てくるので、摘みとります。放っておくとジャングルのようになり、手がつけられなくなります。一つ一つわき芽を摘んでいると手がまっ黄色になって、石鹸で洗ってもなかなか取れません。また、支柱にもこまめにしばりつけないと、地面に降りてはっていってしまいます。そうこうして初めてできたトマトを畑でつまみ食いするのは、毎年のことですがうれしいものです。トマトだけは一個たりとも無駄にしたくないと思ってしまいます。今年のトマトはどうでしょうか。

 

2004年7月 3号
お百姓はお天気しだい
   
      
暑い日が続いています。標高1000mの土地に住んでいて暑いなどと言っては怒られそうですが、畑に日陰はないし、何かしら体を動かすことになるので、今週はほんとうによく汗が出ました。今、一年間で最も体重が減る時期です。毎年冬と夏では5〜
6kg違うのですが、今年は特に減っているみたいです。私の体重もお天気次第といったところです。とにかく農業はダイエットに最適。好きなだけ食べても、飲んでもやせられます(ビールがうまい!)。
そうは言っても、ここでは暑すぎて作物が弱ってしまうようなことはありません。最高気温はどんなに暑くても30℃をちょっとこえるくらい。そして夜から明け方にかけて10度代まですーと下がります。今年植えた野菜もおおむね元気に育っているようです。作物はお天気次第なので、ついつい雨が多いとか、ちっとも降らないとか、暑い、寒いと文句を言いたくなるのですが、日本は気候に恵まれたところだと思います。どこの土地でも放っておけば、あっという間に草がボーボー生え、やがて木生
え、林になってしまう。こういうところの方が、世界ではまれなようですね。
近所のお百姓に道で会ったりすると、まずはお天気の話になるのですが、とくにお年よりなど、どんな気候のときでも落ち着いたものです。そうだな、お天気に文句を言ってもしょうがないと私も反省させられるのです。
今、野菜のトップをきってキュウリがたくさんとれています。今お届けしているのは「さつきみどり」というという品種です。8月ごろには「バテシラズ」というのに選手交代します(キュウリは2回まきます)。この「バテシラズ」もとってもおいしいキュウリです。キュウリ、ズッキーニのあとはインゲンが出てきます。「モロッコインゲン」という品種です。インゲンはいろいろ作りましたが、今のところこれが一番おいしいと思います。インゲンは4回に分けて順次まいてゆき、夏中食べられるようにしています。そのあとはナス、そしてトマトの登場です。ナスは「築陽」トマトは「麗夏」というのを作っています。インゲンやキュウリのように若い実を食べるものは、出始めが最もおいしく感じますが、トマトのように熟した実を食べるものは、とれ始めてしばらくしてから、次第に味がのっておいしくなってきます。どうぞご期待ください。

 

2004年7月 2号
野菜の健康管理
   
      
6月29日台風が去って、畑の水分がちょうど良くなったのをみはからって人参のタネをまきました。これは、10〜12月にお届けするものです。同じく、秋から冬にかけてお届けするキャベツ類も6月中にはタネをまきます。いろんな野菜をお届けできるようにシーズンを通じて、常に何かのタネをまいているのですが、これからしばらくはタネまきも一段落です。かわって畑の管理作業が増えてきます。
まずは、除草―草取りです。「草さえ生えてこなければ畑なんていくらでも作れるのに…」と、つい思ってしまいますが、もちろんそんな都合の良い話はありません。それに、畑によって生えてくる草は違うのですが、自然農法などの考え方では、その土地を肥やすのに最も適した草が、生えるのだといいます。うちにも1か所スギナがびっしりと生えてくる畑があります。スギナはやせ地に生え、地中深くから様々なミネラルなどを吸い出して、地表を豊かにし、そして土が肥えてくると自然に少なくなってゆき、他の草にかわってゆくのだそうです。このスギナ畑をどうやってよい畑にしてゆくのかは、しばらく実験が続きそうです。ともあれ、この時期草の育つ早さは、毎年のこととは言え、驚くばかりです。放っておけば間違いなく、草が野菜に勝ってしまうので、少し手を貸してあげなくてはならないのです。
他には、追肥といいますが、野菜のすがたをよく見て、栄養状態が良くないようなら、肥料をあげます。この見きわめが、何度やってもむずかしいものです。肥料が多すぎて、太りすぎてしまうと、病気にかかりやすくなります。害虫にも好まれます。
わが家には「作物病害虫辞典」というぶ厚い本がありますが、野菜にも実にいろんな病気があります。反対に、肥料が少なすぎたり、あるいは土がやせていると、収穫が少ないですし、また、栄養失調状態になるとかかる病気もあります。
野菜が芽を出し、生長し、自立し、実をつけ、やがて老いてゆく…その一生を1シーズンのうちに見とどけるわけですが、管理がうまくゆけば、そして土がよければ寿命も長く、病気も少なく、美しく老いてゆきます。老境に達した時に違いがいちばんはっきりと出てしまうのです。人間もいっしょでしょうか。

 

2004年6月 1号
ことしも一年よろしくお願いいたします。
   
      
また、皆さんに何とか1回目の野菜をお届けすることができてほっとしています。今年も、安全でおいしい野菜を作ります。よろしくうちの畑におつきあい下さい。

畑には「はざかい期」というものがあります。作物がとれない時期のことです。冬は寒いので、もちろん何もとれないのですが、家の中のムロなどに大根、人参、ジャガイモ、キャベツ、白菜、長いも、カボチャなど、どっさり蓄えておいて少しづつ出してきては食べます。ところが、春になり、だんだん暖かくなるにつれ、貯蔵しておいた野菜は、傷んできます。だんだん味も落ちてきますし、いいかげん飽きてもきます。そして、最後には腐ってしまいます。一方、冬越しの葉物はとうが立って花が咲き、畑に一番の種はまいても、まだ大きくなっていないこの1ヶ月くらいが1年で最も野菜のない「はざかい期」です。この季節はちょうど山菜のとれる時期です。わが家でもフキノトウから始まって、ギョウジャニンニク、ウド、フキ、コーレ(ギボウシの若芽)、三つ葉、タラの芽、ミョウガタケ、コシアブラなどで何とか食いつなぎ、やっと6月に入ると、畑のものもできてくるというぐあいである。野菜セットも、最初はまだボツボツというかんじで、育ちの早い葉物類や間引き菜などが中心で種類も少ないです。じっくりとおつきあい下さい。

ほそかわ農園の野菜作りの一番大切な約束は、農薬、化学肥料を一切使わないということです。これだけはなんとか守って8年たちました。すると、不思議なことにというか、当然というべきか、野菜はだいたいにおいておいしくなってくれます。そして、自然と旬にしかできなくなるのです。例えば、真冬にビニールハウスで暖房をたきながら、無農薬でキュウリを作ることは不可能でないとしても、至難のわざです。一方、家庭菜園をされる方ならよくお分かりのことだと思いますが、キュウリに適した季節に育てれば、何もしなくてもスクスク育ってしまうのです。そして、もちろんこっちの方がおいしいに決まっています。ただ、旬といえぱ聞こえはよいのですが、それは欲しい物だけを選べない!同じものばかり続く!いちどにどっさりできてしまう!ということもあるわけですが…。

テレビなどを見ていると、「この野菜はこんな栄養があって体に良い。これを毎日1ケ食べましょう!」などと毎日毎日新しい知識を教えてくれます。けれど今なにを食べるべきかということは、季節と畑にきくのが一番ではないかと思うのです。

 

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